白露という響きはとても秋を感じます。
ところが実際は9月上旬と、
近年ではまだまだ暑い日が続きます。
今回はそんな白露に関してみていきましょう。
二十四節気を知れば大人の仲間入り~白露編
2020~2022の白露
- 2020年(令和2年) 9月7日月曜日
- 2021年(令和3年) 9月7日火曜日
- 2022年(令和4年) 9月8日木曜日
毎年同じようですが日にちは入れ替わります。
今年は9月21日月曜日までが白露です。22日は秋分です。
二十四節気は、1年の太陽の黄道上の動きを視黄経の15度ごとに24等分して決められている。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていた。また、閏月を設ける基準とされており、中気のない月を閏月としていた。全体を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けて、節気と中気を交互に配している。
白露の場合は9月6日~9日のうちのどれかになります。
処暑の意味
こよみ便覧に聞いてみよう
処暑とはこよみ便覧(暦便覧)によると
「陰気やうやくかさなりて露こごりて白色となればなり」
と、記されています。
陰気というのはこの場合、
陰湿なという意味でなく冷たい空気のことを指します。
陰と陽
これは陰陽道、
安倍晴明とかの陰陽道です。
陰陽道では万物が陰のものか陽のものか分かれています。
季節も春夏が陽で、秋冬が陰です。
秋冬の陰の気を帯びた空気がようやく、
朝露として結露するようになるという意味です。
朝露にまで冷え込むかは微妙なところですが、
日中は暑いものの、
日が暮れた後は、
熱帯夜になることは徐々になくなり、
朝晩は涼しくなるころということです。
白はどこから出てきた?
露はいいとして、
白はどこから出てきたのでしょう?
土用の解説のところで出てきた五行思想に答えがあります。
この世の全ては、
木・火・土・金・水でできていると考えられていました。
そして季節も、
- 春・・・木(青・緑)
- 夏・・・火(赤)
- 秋・・・金(白)
- 冬・・・水(黒・紫)
のようになっています。
そうです秋は白なのです。
この秋を表す白と露を合わせたのが、
白露です。
つまりは?
ようやく冷たい空気が降りてきて、
朝晩は梅雨が降りるようになる頃ですという意味です。
五行説に関しては、 2020年土用の丑の日は2回あるけれど土用とは? の続きです。 前回の記事で、 土用が季節ごとにあること、 土用がどうやって決まるのか、 土用の間日がいつなのかがお分かりいただけたと思います。 今回は ... 続きを見る
土用の記事をご覧ください。
どうして土用の丑の日なのか
こよみ便覧に関しては、 このサイトでも歳時記にちなんだ記事には、 こよみ便覧(暦便覧)によるととしれっと書いてあります。 書くたびに心苦しかったのですが、 書くと長くなりそうなので別記事でと思っておりましたが、 ずるずる先延 ... 続きを見る
こちらもご覧ください。
ちょいちょい目にする暦便覧って何?
白露あれこれ
重陽の節句
重陽の節句は9月9日です。
別名菊の節句とも言います。
先ほどの五行説にも関係してきますが、
陽の数が奇数、陰の数が偶数とされています。
その為、
- 1月7日-人日(七草の節句)
- 3月3日-桃の節句(上巳の節句)
- 5月5日-端午の節句
- 7月7日-七夕(笹の節句)
- 9月9日-重陽の節句(菊の節句)
1月1日はお正月ということで7日。
11月は諸説色々ありますが入っていません。
2桁だからですかね。
9という数は、
陽の数の中で最大の数です。
その為、重陽の節句は最もおめでたい日とされています。
重陽の節句は、
菊と月を楽しむ節句で、
菊を漬け込んだ菊酒を月を見ながら飲んだり、
菊をお風呂に入れたり、
菊を枕に入れたりといったことをする行事です。
発祥の中国では、
登高といって山や丘に登り、
景色を眺めながら酒宴を開いていました。
髪に赤いカワハジカミの実のついた枝をさし、
菊酒を飲み邪気を祓い、
災厄を除くことを願ったといいます。
日本ではカワハジカミを袋に入れて、
菊とともに柱につけて悪気を払う目的で使われていました。
カワハジカミの実は、
体内の毒気を除く妙薬と考えられており、
菊は延命長寿の霊薬と考えられていました。
最もおめでたい日なのに悪気を払うのは矛盾しているようにも思えますが、
陽が重なるとその分陰の力も強くなるという、
表裏一体の考えがあるからです。
明治時代になって、
それまで祝日とされていた五節句は、
暦を西暦に合わせるタイミングの、
1873年(明治6年)に祝日から外されました。
重陽の節句は他の節句に比べて、
大人向けだったこともあり、
目立たなくなりましたが、
九州で「くんち」と呼ばれる祭りは、
「九日」から来ています。
「お九日」という名前で収穫祭を行っていました。
現在も旧暦の重陽の節句である10月中旬に行われています。
白露のここがスバラシイ
白露の概要(七十二候)
初候(9/7~11)
草についた露が白く光る頃です。
ここでの白は見た目の白だといわれています。
露は秋の季語でもあります。
草露白
次候(12~16)
セキレイの鳴き声が聞こえる頃です。
こんな鳴き声を聞いたことはありませんか?
特に渡り鳥ではありませんが、
かつては夏場は北海道や東北で繁殖し、
秋から冬にかけて本州各地で見られる鳥でしたが、
近年では夏場も本州にいるそうです。
元々はセグロセキレイとキセキレイが本州では見られていました。
それまでロシア中国の沿岸側と北海道、東北北部で見られる程度だった、
ハクセキレイが20世紀後半になり、
南下をはじめ今では関東地方まで勢力が拡大するようになりました。
この3種の中では小さいキセキレイが主に、
追いやられているようです。
体長は20cmほどで、
尾を縦に振りながら胸を張って歩きます。
水辺で狩りをするため水辺にいることが多いですが、
都会にいるハクセキレイは水辺でなくても狩りをします。
セキレイは日本書紀にも登場し、
イザナギとイザナミが国生みをしようとしたものの、
やり方がわからずにいたところ、
セキレイが現れ尾を振ってやり方を教えたとされています。
鶺鴒鳴
末候(17~21)
ツバメが南方へ移動する頃です。
「玄鳥」でツバメと読みます。
現在一般的なのは「燕」ですね。
ツバメは越冬のために、
南へ行くのですが、
行き先は台湾、フィリピンや東南アジアです。
中には日本に留まる者のいるようです。
体長は17cmほどです。
ツバメは天敵から逃れるために、
民家に巣を作ります。
人間が近くにいると天敵は近づいてこないからです。
人の出入りが多い方が作られやすいため、
いつしかツバメの巣があると、
「出入りが多い=栄えている=幸せになる」となりました。
玄鳥去
白露の旬
白露の旬
キノコ
もちろん天然モノの話です。
現在売られているキノコのほとんどは、
工場で生産されています。
工場で一定の温度湿度を管理されて作られるキノコは、
年間通して同じになるように作られています。
天然モノの場合は、
9月から11月にかけてが旬です。
人工栽培で量産化されていないマツタケは、
この時期にならないと店頭に並ばないことからもお判りでしょう。
キノコには疲労回復や糖質の代謝などに効果があるビタミンB1、
脂質の代謝や健康な肌や髪を作るビタミンB2、
骨を丈夫にし、免疫を向上させる働きのあるビタミンD、
水溶性、不溶性食物繊維のどちらも豊富に含まれています。
そしてなにより低カロリーで、
生活習慣病の予防にも役立ちます。
一般のスーパーで天然モノを見つけるのは難しいですが、
郊外の道の駅などで時期が合えば見かけます。
戻りカツオ
カツオの旬は2回あるといいます。
3月から5月頃に九州の南から北海道へ、
北上するカツオを水揚げした初ガツオ。
その北上したカツオが、
9月から10月にかけて九州の南まで産卵のために、
南下するカツオを水揚げした戻りガツオ。
一説によると、
初ガツオはこれから餌をとって太る前なので、
カツオのクセが強く出るため生臭く感じるので、
タタキにするという説があります。
戻りガツオの場合は、
脂がのっているのでタタキにしなくても生臭く感じにくいので、
刺身で食べるのがおすすめですが、
鮮度が落ちるとやはり生臭くなるので、
産地から離れたところではタタキが良いのかもしれません。
また、乗りすぎた脂を飛ばして、
さっぱりと食べられるというのもあるので、
最終的にはお好みということになります。
(そりゃあそうなんですけれど)
カツオは漢字で「鰹」と書きます。
これはカツオから作った鰹節が、
身の硬(堅)い魚だからです。
カツオには、
不飽和脂肪酸の「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と、
「EPA(エイコサペンエン酸)」が豊富です。
DHAは脳の働きを活性化します。
EPAは血管中の血栓を予防する働きがあるといわれています。
造血作用のあるビタミンB12、
カルシウムの吸収を促進と免疫を強くするビタミンD、
肝機能の働きを助け疲労回復を促すタウリンなどが含まれています。
白露とは
日中は暑くても朝晩は秋の雰囲気が漂う頃です。
近年は9月末くらいまで暑い日が続きますが、
それでも季節は確実に進んでいて、
一日のうちのどこかで秋を感じることができるでしょう。
朝露ができるのは、
夜のうちに下がった気温が日の出で気温が上がり、
葉に結露します。
残暑お見舞いもこの時期くらいまでが良いでしょう。
葉書で出す以外の残暑お見舞いといえば、
出しそびれたお中元ですが、
関東であれば、
7月15日ごろまでお中元で、
それ以降が暑中お見舞いになり、
立秋から残暑お見舞いで白露が限界であると思います。