2020年土用の丑の日は2回あるけれど土用とは?
の続きです。
前回の記事で、
土用が季節ごとにあること、
土用がどうやって決まるのか、
土用の間日がいつなのかがお分かりいただけたと思います。
今回はその続きです。
間日でもない丑の日がどうしてクローズアップされるかなどを、
見ていきます。
土用の丑の日~春の土用なのにうなぎを押していた違和感(後編)
夏の土用の間日は丑の日でない
五行思想ふたたび
前回、五行思想に関して見てきました。 梅雨も時期的にはそろそろ終わりに近づいてきました。 街中では食品ロスの問題意識の高まりから、 うなぎの予約販売を促す告知も目立つようになりました。 最近はコンビニでもうな重の予約を受けています。 ウナ ... 続きを見る
ご覧になってない方は、
こちらを先に。
2020年土用の丑の日は2回あるけど土用とは
この世の全ては、
木・火・土・金・水でできていると考えられていました。
そして季節も、
- 春・・・木(青・緑)
- 夏・・・火(赤)
- 秋・・・金(白)
- 冬・・・水(黒・紫)
のようになっているということでした。
そして、
それぞれがそれぞれに影響しあっています。
お互いが良くしあう関係(陽の関係)を、
相生といい、
お互いを打ち消しあう関係(陰の関係)を、
相克といいます。
必ずどれかがどれかに関わっているのです。
内訳として、
相生の場合は、
このようになり、
相克は、
となっています。
土用は次の季節への準備期間
話を土用に戻します。
このようにそれぞれがそれぞれに影響を及ぼしあっています。
季節が移り変わる、
いわゆる準備期間のようなものに、
土用が当たるのです。
夏の土用であれば、
土用の虫干し・天日干しというものをしていました。
梅雨が明け、
しとしと降り続く長雨から解放されて、
衣服などを天日干しするのです。
梅雨の間に発生する、
カビやダニなどを駆除して、
夏の時期を健康的に過ごすのが目的です。
田んぼでは水を抜き、
土を乾燥させることで病害虫を防ぎ、
根を健康にししっかりと張らせることが行われました。
秋に収穫するための準備が行われているのです。
準備期間とうなぎの関係
夏の土用は丑の日にウナギを食べます。
土用の丑の日にウナギを食べる。
丑の日にウナギ。
何の関係もないように思える、
丑とウナギ。
これも先ほどの五行思想と関わりがあります。
先ほどの相生の関係からすると、
夏は「火」です。
「火」の季節ですが、
土用の期間は「土」が支配します。
ただ、急に切り替わるわけではありません。
季節と車は急には止まれません。
そうなると相生の関係でいうと、
「火」が燃えて「土」を生む
「土」は土中から「金」属を生む
でしたね。
この部分だけ強くなりすぎる。
「土」が強くなりすぎると全体のバランスが崩れますので、
危険であるとされています。
「土」を抑えるためには「土」を生かす、
「火」を弱める必要があります。
「火」の相克の関係にあるのは「水」です。
そのため、「水」の季節である冬の力を借りる必要があります。
「水」の時期で同じ土用のかかっている時期。
つまり「丑」を持ってくれば良いのです。
月を丸ごと入れ替えてしまうわけにはいきませんので、
「丑」の日に「水」の象徴の「黒」を食べるということに、
なったのです。
また「黒」または「丑」の「う」が付く食べ物が良いという場合もあります。
ウナギがなぜよいか
牛は食用でない
これらを踏まえると、
夏土用の丑の日に「う」の付く黒い食べ物を食べる。
ということになりますので、
「ウナギ」ということになるのです。
でも、「う」の付く黒い食べ物は「牛」も、
黒毛和牛なら「う」のつく黒い食べ物では?
となりそうですけれど、
牛が食用になったのは明治以降です。
それまでは重要な労働力でした。
田畑を耕すのにも、
作物を運ぶにも牛がいなかったら、
全て人の力でやらなければなりません。
そんな大事な財産を食べるわけにはいきません。
また、肉食はタブーだったというのもあります。
ただ、土用で丑ということから、
この日に牛を水浴させるという風習もありました。
あちこちでこすられていますが平賀源内
エレキテルの発明で有名な平賀源内(1728~1780)が、
夏の時期売り上げの落ちる鰻屋に頼まれて、
店先に、
「本日土用丑の日」
と掲げるアイディアを出したというのは、
あちこちの雑学系番組やサイトで、
こすられまくっていますので、
ご存じの方も多いでしょう。
それまでは、
あんころ餅を「土用餅」として食べたり、
「土用蜆」としてシジミを食べたりしていました。
江戸時代はウナギは全て天然モノでした。
現在のようにウナギが養殖されるのは、
これまた明治になってからです。
天然モノのウナギは夏場は脂があまり乗っておらず、
それでもこってりしているので、
夏場はあまり売れません。
そのためのキャッチコピーだったのでしょう。
現在はほぼ養殖です。
養殖モノは年間を通して脂がのっています。
要するに
- 五行思想では万物は火、水、木、金、土でできている
- 季節も例外ではない
- 土用は各季節に存在し次の季節に移り変わる準備期間
- 土が支配する土用はほかの季節に比べて火の力を受けて強くなりすぎる
- バランスをとるために対の季節の力を借りる
- 黒くて「う」の付くものを「丑の日」に食べる
- ウナギが理にかなっている
- 春の土用の丑の日にウナギを食べても意味は無い